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政府紙幣で借金を完済し、

一人100万円を配る

借金でお金を発行する時代は必ず終わる

· 根幹政策

誰の借金でもないお金が必要

今の金融経済を俯瞰で見てみましょう。お金というのは信用創造の仕組みで説明した通り、誰かの借金として発行されます。つまり、常にほぼ同じ額の借金が表裏一体で存在するということです。これは政府の借金がお金を増やす仕組みで述べたように、政府の借金を返せば皆さんのお金がなくなる、ということからもわかります。相殺すればゼロということです。私たちの金融経済というのは、最も単純化して言うと、相殺すればゼロのお金と借金を、奪い合い、押しつけ合っているだけです。もちろん奪い合うのはお金で、押し付け合うのは借金です。借金を押しつけるというのは実感が湧かないかもしれませんが、この日本に生まれただけで政府の借金(=後払いの税金)が押しつけられるのです。そして、そこから脱却するために奪い合うのです。奪い合うという言葉にも抵抗があるかもしれませんが、全て相殺すればゼロ、つまりお金の部分だけ見ればゼロサムの世界ですから、みんながプラスということはありません。奪わなければ負けるのです。つまり、金融の世界というのは、みんなで仲良く分け合えない世界なのです。必ずマイナスの人がいるわけですから。しかも、金利という仕組みがプラスもマイナスも加速度的に大きくし、その差を広げます。

図1

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一方、お金で交換する実際の価値はどうでしょう?こちらは全て実在するプラスです。みんなで等分に分け合うことができます。ところが、それをお金の配分にしたがって分け合うとどうなるでしょう?等分に分け合うことなど不可能です。マイナスの人はどうすれば良いのでしょう?実際、いかに金融的にマイナスでも、人は食べないと生きられませんから、社会保障で分け合うことになります。プラスの人から税金を取って、それを再配分するわけです。しかし、それでも埋め切れない場合はどうするでしょう?政府が借金をします。お金(プラス)と借金(マイナス)を同時に増やして、プラスの部分を分け与えるのです。マイナスは誰に押し付けるのでしょう?未来です。今、現存する価値(食べ物など)を分け与えるのに、未来の子ども達がそのツケを負うのです。おかしいと思いませんか?これが今の、借金によってお金を作り出す金融経済の矛盾です。無限にプラスとマイナスがある金融の数学的世界と、有限なプラスしかない実世界は相容れないということです。私たちは今こそ、この根本的矛盾を解決しなければなりません。実在する価値を交換するための、誰の借金でもないプラスのお金を発行しなければならないのです。それがフェア党が考える未来へのフェアであり、我々が最も強く主張する根幹政策です。

政府紙幣を発行する

誰の借金でもないプラスのお金は、政府紙幣として発行します。ただし、多くの人が心配するように、現在の日銀券と二種類の紙幣が世の中に出回るようなことはありません。発行の仕方は次のようなものです(図2)。

図2

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仮に100兆円の政府紙幣を発行する場合は、1兆円紙幣を100枚刷ります。これを日銀に預けると、日銀はそれを金庫に入れ、日銀内の政府口座に100兆円と記帳します。それだけです(法律の改正は必要ですが)。後は通常通り、政府はそれを政府支出として使い、通常通り振り込むだけです。それを受け取る公務員や政府事業の請負業者は、普段と何ら変わることなく、日銀券でそれを引き出すことができます。敢えて1兆円紙幣を刷るというのは、それが日銀の金庫を出ることなく、その方が省スペースで偽造の心配もないからです。今も日銀が国債を買い、同じようにお金を発行していると言う人もいるかもしれませんが、それはあくまでも借金であり、これは誰の借金でもないということ。それから、今の日銀による国債買い入れは、既発債を買って、銀行にお金を貸すように促しているのに対し、これは直接政府にお金が入り、政府支出としてそれが世の中に回ります。実はノーベル賞経済学者のポール・クルーグマンも2015年9月11日のニューヨーク・タイムズへの寄稿で日本に対してそれを提言しており、彼は新発債の買い入れを念頭に置いているようですが、それだとあくまでも政府の借金であることは変わりないので、フェア党はそれを一歩進めて、政府紙幣でそれを行います。

政府の借金を10年で完済する

政府紙幣を発行すれば、政府の借金は完済できます。まずは現状をおさらいしましょう。すでに「政府の借金でお金を発行する仕組み」で説明した通り、日本政府の今の財政は図3のようになっています。税収とその他収入合わせて63兆円に対して、支出+利息=83兆円と、足りない20兆円は新たな国債を銀行に買わせ(銀行から借り)、お金を作って賄っています。これにより、民間が納めた金額(税収+その他収入=63兆円)以上のお金(政府支出+利息=83兆円)が返ってくるため、皆さんの現金預貯金がその分増える。つまり、「政府の借金=お金の発行」となっているわけです。この仕組みのまま税金で政府の借金を返すとどうなるか?当然、税収を増やして支出を削り、税収>支出となれば、その差額で政府の借金は返済できますが、逆にその分のお金は民間から消えます。つまり、845兆円の政府の借金を990兆円しかない民間の現金預貯金から払えば、政府の借金も消えるが、皆さんのお金もほとんど消えるということになります。これはもはやあり得ません。したがって、税金で政府の借金は返す選択肢はないということです。

図3

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ではどうしたら良いのでしょう?答えはシンプルです。誰かが借金をしないとお金が発行されない仕組みが原因なのであれば、誰の借金でもない政府紙幣を発行し、それで政府の借金を置き換えれば良いのです。発行の仕方は図2で説明した通りですが、図4をご覧ください。政府紙幣の発行により、政府預金口座には100兆円が記帳されます。税収58兆円、その他収入5兆円、政府支出74兆円が全く変わらなくても、基礎収支が89兆円のプラスになり、利息の9兆円を払っても80兆円余ります。これを国債の返済に充てると、国債の残高は799兆円に減る一方、皆さんのお金は1010兆円に増えます。皆さんの側から見ると、税収も政府支出額も全く変わらないので、実感としては当初何も変わらないでしょうが、結果は劇的に変わります。まず、これを10年も続ければ、政府の借金を完済できます。そして、同時にそこについていた膨大な利息、これも格差拡大要因となっていたものが消滅します。すると、政府の借金のせいで財源がないという「言い訳」もできなくなり、必要なことに支出できるようになります。次第に、当初は実感できなかった変化も、次第に大きな変化として実感できるようになるでしょう。

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328兆円のタダ働き分を返還する

日本が黒字を稼ぎ過ぎ、328兆円分もの外貨が国内に還流しないため、国内の労働者がほとんどその恩恵を受けられなかったことは「国家経営の根本的な過ち」で説明しました。そのためにデフレになっているのです。これを解決するには、タダ働き分を返すしかありません。政府紙幣を刷ってまずやるべきことは、政府の借金返済よりも先に、まずそれを配ることです。政府の借金を返し始め、それ自体は減ったとしても、お金の増え方は、政府予算と税収の差額という意味では従来と変わりません(従来はそれを国債で賄い、それを政府紙幣に変えるだけでも重要な変化ですが)。今は何よりデフレの解決が急務と考えれば、それを直接配るのが最も効果的です。よくバラマキを批判する人がいますが、単なる思考停止でしかありません。今の仕組みがいかに搾取的で、いかなる金融緩和も上流からしかお金が流れないことを理解すれば、下流に直接渡さなければいけないことは自明です。それに、これは単にバラまくという話ではなく、本来労働者が受け取るべき報酬を受け取れていないから、それを政府が責任を持って返還するという話なのです。さすがに328兆円分全部となると一人300万近くになりますが、とりあえず一人100万円、政府紙幣130兆円分を刷って配れば、どれだけ助かる人がいるかわかりません。自分はそんなに要らないという人がいれば、寄付でも贈与でもすれば良いのです。それで間違いなくデフレは改善するでしょう。しかも、政府の借金が増えることもなく、誰の痛みも伴わずに。繰り返しになりますが、これは暴論でも何でもありません。仕組みを理解し、先入観に縛られなければ、当然の解決策なのです

政府紙幣は裏付けのないお金か?

政府紙幣の話をすると、よく裏付けのないお金だからダメだと言う人がいます。むしろ逆です。今のお金の方が裏付けがないのです。何故なら、お金だけが勝手に増える仕組みを民間に委ね、コントロールできていないからです。そもそも、古典的な意味でのお金の裏付けというのは、1971年のニクソンショックの時になくなりました。それまでは金本位制を敷いていましたが、ニクソン大統領がドルと金の交換性を停止し、間接的に固定相場でつながっていた全ての通貨も、金の裏付けを失ったのです。しかし、それも当然の成り行きだったでしょう。経済の発展で膨大な量の価値が生み出されるようになると、膨大な量のお金が必要になります。その全てを金が裏付けることはできませんし、他の何物もできないのです。唯一それだけの量のお金に匹敵するのは、それと交換できる価値全てであり、その交換性が担保されることが、お金に裏付けのある状態を保つということです。ですから、お金の量と価値の量のバランスが大事なのです。誰かの借金としてお金を発行することが、お金の乱発を防ぎ、そのバランスを保つと考えられて来ましたが、リーマンショックや世界金融危機を見る限り、むしろ逆です。お金を借金で発行していることが、お金(=借金)を膨張させ、裏付けのないお金を乱発しているのです。結局どんどん貸し続けてお金を増やし続けないと、破綻するしかないところまで来ているからです。それは、その時に取ったアメリカ政府の対応でも明らかです。破綻しないように更に借金を増やし、金融機関を救済するしかなかったのです。そのようにしてマイナス(借金)を作ることによっていくらでもプラスを作れ、そのツケを先送りできる仕組みで、裏付けがあるなどと言うのは、子どもたちの未来を担保に取ったと言うようなものです。返せるはずのないものをどんどん未来に先送りしていて、何が裏付けだと言うのでしょう?あまりに無責任な考え方です。フェア党はそれに対する明確な対案を主張します。プラスのみのお金を政府紙幣で発行し、政府がその発行量をコントロールすること。その方が遥かにきちんとお金の裏付けを保つことができるのです。