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本質を外れ、

人を幸せにしないアベノミクス

異次元の所得格差拡大

· 現状認識

異次元の金融緩和は時限爆弾を大きくする

アベノミクスの異次元の金融緩和は、あくまでも既存の仕組みの中での緩和策です。基本的に、日銀が銀行から既発の国債を買い上げ、それで渡した代金を元手に、民間融資を増やすように誘導するわけです。銀行は、今まで国債を買って利息を稼いでいたお金に金利がつかなくなりますから、それを何らかの運用に回さないと収益が落ちます。だからそれを融資に回すだろう、という思惑の下、それを大胆にやるわけです。今回は国債の他にもリスク資産なども買い入れ、その意味では従来より一歩踏み出した感がありますが、それでも結局は銀行が融資を増やし、お金を増やすことを意図した政策であり、「誰かの借金としてお金を発行する」ことに変わりはありません。その仕組みのまま、世の中の借金を大胆に増やし、お金を増やしたらどうなるでしょう?まるで時限爆弾の時計の針を先に進めるようなものです。世の中のお金全てにかかる利息はますます大きくなり、自然に任せれば減価する実体価値との乖離も加速して大きくなります。利息が大きくなればなるほど社会の二極化は速まり、富が一部に集中します。その結果、多くの人は時間もお金も奪われ、実体価値の増産も消費もままならなくなり、さらに乖離が大きくなるという悪循環に陥るのです。すでにそうなっているのにも関わらず、さらにそれを加速するのが異次元の金融緩和です。

お金を増やしてもGDPが増えない理由

既存の仕組みのまま、ただお金を増やしてもデフレが解決せず、経済も成長しないことを示すのが下の図です。これは1981年から2014年までのM2(お金の量/青)とGDP(赤線)、銀行貸出残高(紫線)、国債残高(緑線)、そして国債の累積利払い費(水色棒)のグラフです。この間、お金は増え続けているのにも関わらず、GDPは全く伸びず、インフレにもなっていません。何故でしょう?恐らく増えたお金が使われていないせいですが、その原因を特定するのは容易ではありません。様々なことが影響するからです。しかし、一つ注目すべき点があります。それは国債の利払いです。

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グラフでもわかる通り毎年の利払いが10兆円前後、この35年で累積300兆円以上になっています。この間、政府は一円も返せず、利払いも新たな借金で払い続けているので、金利に金利がかかる複利となり、政府の借金880兆円のうち300兆円以上が金利で膨れただけ、実際に政府支出として使えた真水は580兆円だけということになります。GDPの中には政府支出も入りますから、まずそれが一つの要因として考えられます。それからもう一つ、その国債の利息を誰が受け取っているか、ということです。基本的に日本の国債の9割以上は日本人が所有しています。主に銀行、ゆうちょ銀行、簡保、生保、損保、年金運用機関などの機関投資家です。したがって、利息もそれらの機関に資産を持つ人たちが間接的に受け取っています。資産の多い人たちがより多く受け取り、その多くは高齢者であることが推測されます。基本的にあまりお金を使わない層です。この仕組みでは、お金が増えれば増えるほど、そして時間が経てば経つほど利息が大きくなり、富裕層(特に高齢者の)への所得の移転が進みます。つまり、この仕組みそのものが巨大な格差拡大マシンとなっており、お金が増えてもGDPが増えない原因と考えられるのです。

消費税増税は間違い

消費税の最大の問題は、それがお金のスピードを落とす点です。お金を使う度に徴収されるので、お金を回せば回すほど徴収機会と徴収額が増え、世の中のお金が減ります。お金を増やして、お金が回るスピードを上げなければ成長もデフレ脱却もない中、全く逆の政策と言えるでしょう。しかもアベノミクスで異次元の金融緩和を推し進め、財政支出を増やし、世の中のお金を増やそうとする一方でそれをやるのです。全く矛盾し、その効果を打ち消す政策と言えるでしょう。消費税のもう一つの問題は、それが弱い者にしわ寄せが行きやすい政策であるという点です。通常取引の中に組み込まれますから、両者の力関係が反映されます。弱い立場の売り手はそれを十分に反映できないことも考えられ、結局誰が本当にそれを負担するのかは、その力関係によって決定されるという側面は否定できないのです。例えて言うなら、それは固いものも柔らかいものも一緒くたに袋に入れ、上から押し潰すような税制です。立場の弱い人や企業が痛みを被る可能性が高いと言えるでしょう。それを、先にも指摘した通り、異次元の金融緩和の一方で増税するということは、お金を借りられる人からお金が回り(金融緩和は誰かの借金を増やして行うため)、その利息を貸せる余裕のある人に払い、どちらでもない人は、お金を使う度に、その分の金利が織り込まれた値段を払い、さらに上がった消費税まで払うということになるのです。これはフェアな政策と言えるでしょうか?私たちフェア党は、消費税増税阻止どころか、消費税そのものを廃止できるという政策の実行を提案しております。詳しくはフェア党の政策の数々をご参照ください。(→消費税について説明した動画はこちら

株価だけ上げても意味はない

安倍政権は株価を上げることにご執心のようですが、金融緩和で作られたお金が株式市場に流れ込み、株価だけ押し上げても意味はありません。株価はあくまでも業績に基づいた期待値であり、業績が上がらなければいずれ落ちるだけだからです。株で儲けた人がお金を使うと言いますが、確かに株価が上がって雰囲気が明るくなれば、浮かれて使う人もいるでしょう。しかし、高い株価で売り抜けた相手は、高い株価で買っているのです。売った人がそのお金を使っても、買った人は同じ金額を使わずに株につぎ込んでいるのです。少しぐらい雰囲気が明るくなって、株で儲けた人がお金を使ったところで、企業業績を押し上げるほどの需要を生むには、株式市場など関係ない人たちの元にお金を届かせなければなりません。でなければ、上がった株価はバブルでしかないのです。それから、年金運用機関(GPIF)に株を買わせていますが、言語道断です。巨額の公的資金で株価を吊り上げ、よしんば上手く高値で売り抜けたとしても、その高値で誰かが買うわけです。その時までに企業業績が上がっていなければ、外すハシゴが高くなるだけです。公的資金を運用する以上、そのリスクを考えないと非常に危険です。

TPPの本質とは何か

TPPの本質は、(再掲になりますが)左の主要国の対外純資産の数字と日米関係を考えればわかります。日本は世界一の対外資産を持ち、アメリカは世界一の対外負債を負っています。その金額、2017年末時点で実に885兆円(実際はドルで8兆ドル)と途方もないものです。通常の国であれば、こんなことは起こりえません。その前にとっくに破綻しているからです。唯一アメリカだけが破綻しないのは、ドルが世界の決済通貨で、それを自国で発行できるからです。そして、多くの国が、黒字として稼いだドルを外貨準備として持ち、それを貸す形で米国債などを持っているからです。もちろん、その筆頭は日本です。日本だけで1兆ドルほどの米国債を持っていますから。しかし、それももう限界でしょう。そのたった一年前、2013年末のアメリカの対外債務は482兆円(実際はドルで4.6兆ドル)でした。それが4年で倍増。今までの貿易、資本ルールの中でこの結果ですから、あとはルールを変えたり、あらゆる手を使って他国から富を奪い返すしかないのです。特にそのターゲットとなるのは、世界で最も多く対外資産を持ち、アメリカに貸し、かつ従順な国、日本です。単純な話、日本の富を全て収奪すれば赤字は半分になるわけですから。TPPの本質とはそういうことだと理解すべきでしょう。日本にとってTPPは重要ではありません。何故なら、すでに国家経営の根本的な過ちで説明した通り、黒字を稼ぎ過ぎたのが問題で、これ以上輸出を増やしても同じ轍を踏むだけなのですから。

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